兎嬢腹中記

発案・原作 たとえ胃の中水の中第一スレの63
追加執筆 蔵吾亭伊呂波

ぷチこ(仮名)「……お前、ここにあったメロンパン食べたにゅ?」
でジこ(仮名)「知らないにょ〜。ゲま(仮名)が食べたんじゃないかにょ?」
ゲま(仮名)「そんなことしないゲまー!!」
で「ぷチこのお昼ご飯だったのかにょ?」
ぷ「……違うにゅ。あのメロンパンは特注品にゅ」
で「さっ、早くお掃除するにょ〜」
ぷ「……あのメロンパンを食べたのが誰かわからないけど、ご愁傷様にゅ」

その頃、テーブルの上に小さな人影が横たわっていた。
この人影――ミナたく(仮名)は無類のメロンパン大好き少年である。
彼はこの店でバイトしているクラスメートの少女に会いに来たのだが、控え室から
漂って来るメロンパンの香りにフラフラと誘われて、いけないと思いつつついつい手を
出してしまったのだ。
そして数分後、彼は気を失い、体長5ミリほどに縮小してしまった。
そこへ、ウサギの付け耳と露出度の高いコスチュームに身を包んだ少女がバタバタと控え室に
駆け込んで来た。

うサだ(仮名)「あーん、いっけなーい、ついつい寝過ごしちゃった」
で「うサだー! 遅刻しちゃダメダメにょ!!」
う「うサだってゆーなー」

店員同士の口やかましい喧嘩でミナたく(仮名)は意識を取り戻したが、どうも
メロンパンに混ぜられていた縮小薬の副作用で頭がクラクラするうえに視界もハッキリしない。

そんな彼の目には、まるで果てしない地平線のようなテーブルの向こうに夢のような
光景が広がっているのが映った。

ミ「うわぁーっ! 巨大メロンパンが2つも!!」

ミナたく(仮名)は巨大メロンパンに向かって一目散に駆け出し、全力でジャンプして
巨大メロンパンの峡谷へ飛び込んだ。

ミ「最高だよぉ〜……柔らかくって、プルプルしてて、もう氏んでもいい」

ミナたく(仮名)は表面にまぶしてある砂糖をなめまわしながら、巨大メロンパンの山に
しがみついて頂上を目指した。

ミ「やっほぅー!! このメロンパン、桜あんパンみたいにサクランボが埋め込んであるんだ。もう感動……」

ミナたく(仮名)は一口で入りきらないほど大きなサクランボに目いっぱい大きな口を開けて
吸い付き、ベロベロと舌を動かしながら味わった。

うサだ(仮名)の乳首から全身に、心地よい刺激が伝わる。

う「きゃっ」
で「どうしたにょ? うサだ(仮名)、顔赤いにょ」
う「えー、そう? 別に何でもないのよ、あははは……」
で「またエロい白昼夢モード全開だったんじゃないかにょ」
う「そんな訳無いでしょ!!」
で「ウサギって年がら年中さかってるにょー」
う「なんだとぉー!!」

図星を突かれて動揺したうサだ(仮名)を第二波が襲う。

う「あぁんっ、そんなに強く吸っちゃ……ダメ……」
で「やっぱりさかってるにょー」
う「ち、違うのよ……こ、これは……あふんっ」

ミナたく(仮名)は一心不乱にサクランボをしゃぶり、舌でなめ回していた。

ミ「あれ? このサクランボ、なんだかさっきより大きくなったような。
だけどしゃぶってるとミルクの味がするサクランボって珍しいよなぁー……
やっぱりこれって最高級のメロンパンだよぅっ……んぷっ」

突如としてミナたく(仮名)の全身に何かが覆いかぶさり、弾力のあるメロンパンの生地に
押し付けられる。

うサだ(仮名)は刺激に耐えきれず、胸を押さえながらハァハァと肩で息をしていた。
次の瞬間。うサだ(仮名)が胸を押さえていた手のひらを離すと、豊満で弾力に満ちた
うサだのおっぱいに吸い付いていたミナたく(仮名)は勢いで跳ね上げられてそのまま
巨大メロンパンならぬおっぱい山を弾みながら転がり落ちて行った。

ボヨヨヨ〜ン

最後のバウンドでミナたく(仮名)は宙を舞い、突然襲った快楽の余りハァハァと息も絶えだえな
愛しいうサだ(仮名)の口の中へ飛び込んで行った。

ミ「うわぁぁぁーっ」

ミナたく(仮名)の身体は宙高く舞い上がり、彼の目にはブラックホールのように映る
うサだ(仮名)の口の中へ吸い込まれて行った。
そして、柔らかな斜面に着地した。濡れていて、ザラザラした床であった。
ミ「ここは……?」
ミナたく(仮名)は起き上がって辺りを見回した。既に幻覚の副作用は切れていたが、
状況把握が出来るほど意識は確かでなかった。

ミ「な、何だここは……見たこともない変な所だなぁ……」
どこかはわからないが、妙に暖かく湿気の多い所…。
周りは薄暗く、上の方から光が降りてきていた。全体的に天井から床まで赤く、そして滑らかで艶やかだ。
前方には深そうな淵のごとき暗い暗い洞穴があり、数秒毎に生暖かい風が吹いてきていた。
床は少し柔らかめで表面はぬるぬると粘液質だった。床に付けていた手を放すとつーっと糸を引いた。
風が来るのと同時に、周りがグネグネと動く。考えれば考えるほど変な場所だった。

ミ「……これは」
横を見ると、大きな白い塊が幾つも並んでいた。それは光の入口にもあるようだった。
前の洞穴を見ると、真ん中にぴるんとぶら下がった可愛らしい形の突起があった。
大きいが、それは歯とのどちんこに見えた。
ミ「……もしかして、ここ口の中!?」
ふいに、自分が宙を飛ばされて何物かの口に入ってゆく様をかすかながら思い出した。
誰のだかは知らないが、自分は人の口の中に入ってしまったのである。
そう思うと、突然前の洞穴が恐ろしくなった。
ミ「た、大変だ……食べられてしまう!」

うサだ(仮名)は、ようやく刺激がやんで落ち着きつつある最中だった。
何だったんだろうなと思いながら衣服を整えていた。激しく息をしたため口が渇いていた。
うサだ(仮名)の意志と関係なく唾液が分泌されて口が潤っていく。

ミ「うわっ何か床から水が染み出してきた!」
うサだ(仮名)の唾液分泌は、その口の中にいる小さなミナたく(仮名)にとっては大事である。
いつの間にか口は閉じられ、周りは真っ暗だった。籠る湿気の中で、粘性のあるぬるま湯に浸かってゆく自分。
やばい、と思わざるを得なかった。しかし、逃げられそうな気がしなかった。

一定量唾液が出たところで分泌はやんだ。またうサだ(仮名)の意志とは関係なく、今度は
嚥下の動作に取り掛かった。口の中の小さな異物に気付く前に、それは執り行われた。
う「ん……んんっ」

ミ「うをぉっ」
巨大な舌が大きく動いた。自分のいるところが急に下がり、後ろの出口の方がせり上がった。
ミ「もしかして……の、飲み込まれる!?」
おのずからそう思えた。半分もう死んだ気になってしまったが、生命欲はあるのでおろおろと慌てもがく。
せり上がりがミナたく(仮名)に迫った。それに押され、洞穴の奥に運ばれていく。
すぐ前にのどちんこが近づいた。もしかしたら助かるかもと、ミナたく(仮名)は手を伸ばした。しかし、

ミ「あ……」

救いののどちんこはミナたく(仮名)の手のちょっと上をすり抜け、
自らの体はぬらぬらした液体とともに下へ下へと落ち込んでいった。

う「……んくっ」
うサだ(仮名)の喉がうねりながら鳴った。それは何気ない動作として行われた。
その段になって、何か小さいものを飲み込んだような気がしたが、
多分食べカスか何かだろうと気に留めなかった。
そしてそんなことはすぐに忘れ、さっさと職場へ歩いて行った。

その少女の胸の奥、食道の中で、彼女を慕う5mmの少年ミナたく(仮名)はもがきながら落ちていた。
何とか食道の襞を手がかりとして登ろうとするが、唾液でぬるぬると滑ってとても掴めない。
捕食せし者の筋肉のなすがままに、彼は胃の腑へと運ばれていった。

で「色餓鬼がやっと来たにょ」
う「誰が色餓鬼よ!」
ぷ「うるさいにゅ。早く掃除するにゅ」
店内では、いつも通りの会話が繰り広げられている。何でもない日常の風景である。
しかし、その1人の腹の中には実に非常識な出来事に見舞われた人間がいるのであった。
ミナたく(仮名)は俄かに狭い穴に挾まれ、そうかと思うと一際広い所に落とされた。
彼には、ここがどこなのか容易に予想がついた。
ミ「……胃袋に来たのかな」
すぐに胃酸に溶かされてしまうのだろうと思った。もう諦めるしかないと思った。
ふと、ポケットに小型懐中電灯を持っていたのを思い出した。
取り出して、点けてみた。全体がくすんだ桃色の世界。強烈に酸っぱい匂いがする。
巨大な襞が周囲一面を走り、1つの大きな蠕動のうねがゆっくりと動いている。
電灯の光により、壁面が反射してテラテラと輝いた。はっきりいって美しかった。
下には、朝食の残骸らしきものが溜まっている。嘔吐物に酷似したそれは、
ミナたく(仮名)の絶望感をいよいよ増幅させた。

次に、ライトを上に向けて自分の来た所を見てみた。遥か上にすぼまった穴が見えた。
ミ「あそこが入口か……とてもじゃないけど上がれそうにないなあ……」
上から透明な粘液が落ちてきた。ズボンに少しついて、微かだが溶けだした。
ミ「……やっぱり胃液にあたると溶けるんだなぁ」
諦めの気持ちがまた増した。

それでも何とか助からないか考えた。
外に向けて叫べばこの胃袋の主や周囲の人に気付いてもらえるかもと思い、
側面の胃壁に近づいて耳を澄ませてみた。外界の音が最もよく聞こえる所が、おそらく腹側である。
ブヨブヨグチョグチョした胃壁をぐるぐる練り歩き、人の声の聞こえる所を探り当てた。
「…………………………にょ」
「…………………………にゅ」
何だか特徴的な会話が聞こえる。聞き覚えのある口癖だった。
そこで全てを思い出した。自分は朝好きな人に会う為、
彼女の勤める「げー魔ーず」(仮名)にちょっと寄ってみたのである。
そこで……メロンパンを見つけて……そこからの記憶はない。
ミ「あのメロンパンのせいだったのかな……」
気がついたら自分は宙に浮いていて、そして大きな口の中に飛び込んだ。
そうだ。ここは一体誰の胃の中なんだ?

その時、とてつもない大音声が鳴り響いた。「にょ」に対する罵声のようである。
その声、その口調は……他でもないうサだ(仮名)のものであった。
この時初めて、自分が大好きなうサだ(仮名)に喰われたという事実を確認したのである。

ミ「まさか……僕、ラびアン(仮名)のお腹の中に入ってるなんて……」

信じられないことだった。ただ、どこの馬の骨とも知れぬ者の腹中に納まるよりはマシかとも思った。
しかし、生き延びたい気持ちもあるので早くここを出たいとも思っている。
いくら好きな娘の内部だといっても、死にたくはない。

ぐるぐるぐるぐる……と胃の蠕動に伴って轟音がどよめく。
助かる為の方策を考えあぐねて胃壁に坐り込んでいるミナたく(仮名)。
胃壁の前で何遍叫んでも、壁を何度蹴りつけても一向に気付かれる様子はなかった。
下を見ると、胃に入った時にはあった消化された物体がもう幽門の向こうへと消えていた。
酸い空気の中で、皮膚が少しずつ溶けているような気がしていた。
やっぱりもう死ぬんだと思った。
ミ「でもまあ、ラびアン(仮名)の栄養になるのなら、いい死に方かな……」

ふと、噴門が開いた。どっと流れ込んできたのは大量の水である。
うサだ(仮名)は水を飲んだようである。
鉄砲水のような流水に巻き込まれ、胃袋中を流れ漂った。

暫くしてミナたく(仮名)の体は浮き上がり、空気の溜まった胃上部に来た。
ミ「……溺れ死ぬかと思ったよぉ」
こんな目にあってまだ生きているとは、結構運の良い人間なんだと思った。
でも喰われてしまうのだから、やっぱり運の悪い人間だと思い直した。
幸いにして、大量の水によって胃液は薄まり酸の恐怖からは逃れ得ている。
そして、噴門がすぐ上にあるという絶好の位置にいることを認めた。
ミ「これは……もしかして最初で最後のチャンスなのかも」
しかし、近いとはいえ噴門は手の届く距離ではない。
好運を感じながらも、今一歩届かず手をこまねいていた。

ミ「どうしよう……このままだと水もろとも腸へ流れてしまうかもしれない」
ただそれも良策かと思った。ちょっと尾籠な手ではあるが、
腸を通って肛門から脱出することができればいいと考えた。
が、胃を出た後浴びるであろう胆汁・膵液・腸液などが大丈夫なものかがわからない。
しかも水に流されていくわけでありうサだ(仮名)の排便まで息が続くとも思えない。
ミ「やっぱり上から出る方が現実的かな……」
その時、噴門がまた開いた。今度は、激しい轟音を立てながら胃の中の空気を吸い上げた。
胃内部の空気は一気に減少し、噴門は手の届くところにまで近づいた。

ミ「…………ゲッブ?」
まさはくゲッブであった。ともあれ、これにより助かる可能性が少しだけ出た。

問題は、この強く塞がれた噴門をどうやってこじ開けるかである。
このすぼまりは、いかにも強固そうである。果たして小さくなった人間に開けられるか……。
もう一回ゲップでもしてくれれば、ついでに食道へ吸い上げてくれるかもしれないが
そんな見込みはないし、また水を飲まれるという悪い可能性だってあるのである。
とにかく開いてくれればと、噴門の襞を殴ったりしてみた。
ブヨブヨしているが、なかなかにしぶとい。
懐中電灯の電気を切って、それを挿し込んでみた。その間に手をねじ込み、こじ開けようとした。
しかし手の力ではなかなか開こうとしない。電灯をぐりぐりこね回してみる。
さすがに嫌な刺激だったらしく、噴門は再び開いた。そして空気が吸い上げられた。

ミ「よしっ」

ミナたく(仮名)は噴門の壁に手をかけ、一気に上がろうとした。
が、手が滑ってなかなか上がれない。もどかしかった。
そこを運良く、ゲップの力が余り余って少量の水とミナたく(仮名)の体を押し上げた。
噴門に密着したミナたく(仮名)は、両腕を開いた噴門にかけ、潜り込むようにこじ開けて登り、
噴門の上面に足をかけた。遂に胃から脱出することが出来たのである。

ミナたく(仮名)は、数々の幸運に助けられて、胃から抜け出すことが出来た。
しかし、まだここは食道の最下部である。いつ胃袋に戻されるやらわからない。
この食道をよじ登らねば明日はない。

しかし、飲み込まれた時さんざん抗えど蠕動に勝てなかったこの体で
口まで登ることが出来るものか……。

ここで、あることに気がついた。
さっき噴門を通るとき、ギリギリの幅を潜り込むようにして抜け出した。
飲み込まれて胃に落ちたときは、すんなりと噴門を抜けたのである。
ミ「体が大きくなってるんだ!」

メロンパンを食べ、うサだ(仮名)の体内に入り込んだとき彼は5mmの小人だった。
今も小人には違いないが、時間がたち怪メロンパンの能力が薄れつつあり
4倍の2cmほどにまで大きくなっていた。
今なら、来た時よりも登り易いに違いない。

ミナたく(仮名)は、食道の壁を手足で突っ張って登ることにした。
ブヨブヨした食道壁ではこの方法は困難だが、よじ登っては滑る粘液に負けると考え
比較的マシな方策を選んだだけのことである。
恐るべきは蠕動である。これが襲ってきた日にはまた逆戻りである。
最悪の場合潰れてしまうかもしれない。
服の一部を破り、電灯を頭に縛り付けて上の様子を見計らいつつ登ることとした。

ミ「よし、行くか」

生存の為の、必死の消化器クライミングの始まりである。
最初は登り方をよく掴めず行き泥んでいたが、
やっていくにつれコツをおぼえて順調に登り行くようになった。
筋肉の、物を下へ送り運ぼうとする力は凄まじいものであったが
一世一代の根性を据えて生存のために頑張り耐えた。

う「ん?」
この時、うサだ(仮名)はみぞおちに何かひっかかるものを覚えた。
何度か唾を飲んだが、一向に収まることはなかった。
妙な感触ではあったが特に苦しいわけでもないので職務を続けることにした。

ミ「ど……どれぐらい登ったんだろう……」
食道は長かった。どこまでも続いていた。どこまで登っても出口は見えなかった。
突っ張っても唾液のぬめりで時々滑り下がるし襞の動きに負けることもあった。
それでも一歩一歩着実に高度を上げ、既に出発点も見えない所に来ていた。
激しい運動の上高温多湿の環境のため、汗が吹き出た。
喉が渇いたが、補給できる水分は持ち合わせていない。
ミ「胃の水を少し汲んでおけばよかった……」
胃にいた時さんざん飲んだことが、今思えば幸いといえる。

で「うサだ(仮名)、手が止まってるにょ」
う「え……あ、やってるわよ」
ぷ「嘘にゅ、さっきからボーっとして動いてなかったにゅ」
で「またさかりの虫が騷いでるのかにょ?まじめにやるにょ」
う「誰がさかりの虫よ!」
うサだ(仮名)は、先刻よりの異物感がどんどん上に上がっているのを感じていた。

どれほど時間が経ったろうか。
ミナたく(仮名)は一心不乱にうサだ(仮名)の食道を登りつづけた。

ミ「こ……ここはどの辺なんだろう?さすがに疲れてきたよぉ」
それは人間の限界を超えた行動であるといえる。生きる為ゆえの、本能からの行動である。
しかしミナたくも普通の人間である。体力の限界が近かった。
最後は自分の根負けとの闘いだといってよい。

うサだ(仮名)は、異物感が喉の下まで上がっていることに恐怖を感じていた。
体調が悪いのかと思って一休みしたかったが、でジこ(仮名)に嫌味を言われたくない。
いやーな顔をしながら我慢しつづけた。

腕や脚が震えだしていたミナたく(仮名)は、上に手ごたえを見出した。。
手探りすると、異なる地形を感じた。
食道の入口だった。長い闘いは一段落完了したのだ。
入口をよじ登り、咽頭の底に腰を落ち着けた。一時の休息である。

ミ「ふぅ……でもこれからどうしよう」
咽頭部は初めて見た。食道よりも複雑な形をしていて表面のヌルヌル度が高い。
前には声帯があり、そこを強烈な風が上に下に吹きすさぶ。
上には舌の根らしきものが見られた。唾を飲む動作なのか定期的にグネグネ動く。
下手に登ると潰されそうだ。
ミ「どうしよう……食道より危険な気がする」

また途方にくれて坐り込んでいた。
しかしこんな所でくすぶっているわけにもいくまい。また飲まれれば水の泡である。
何とか口まで登る決定的な策を考え出さねばならない。
しかし体力がもつのかどうかもわからなかった。既に息も絶え絶えである。

ミ「……そうか、息か!」
目の前には気道の入口がある。毎度毎度強風が吹くこの道筋。
この風に乗ってうまく口へ行けるかもしれない。
そうと決まればと、ミナたく(仮名)はうサだ(仮名)の呼吸のタイミングを測る。
そして吸って吐く間を狙って声門の上に覆い被さりに行った。
全身で呼気の風を受ければ浮き上がる可能性も高くなろう。
しかし、声門を体で覆ってしまったことで呼気の出口を塞いでしまったことは痛かった。

うサだ(仮名)は、一瞬息が吐けなくなったことに驚き、咳いた。

ミ「うわあぁっ」
声門から送り出された風はミナたく(仮名)の予想を遥かに超えた強さだった。
浮き上がるどころか吹っ飛ばされて、咽頭粘膜に激突した。
柔らかいので無事だったが、かなりのショックだった。
またそれにより更に刺激を感じたうサだ(仮名)はまた咳をした。

う「エホッゲホッ」
で「どうしたにょ?風邪かにょ?風邪ならうつさないで欲しいにょ」

ミナたく(仮名)はさらに吹き飛ばされ、鼻腔の出口に張り付いた。
咽頭粘膜から飛び散る唾液と痰にまみれて全身ドロドロになってしまった。
ミ「……ごめん」
無意識に、うサだ(仮名)と自分に謝った。(→バッドエンド版分岐1)

う「う〜」
咳き込んだ上に喉に異物感をおぼえて、うサだ(仮名)はいよいよ体調が悪化したかと思った。
異物は喉の上の方に張り付き、鼻の奥がむず痒い。
異物を取ろうと鼻を強くすするが、なかなか取れない。

ミ「うわわわわわわわわわわわわ」
粘膜の強い振動にミナたく(仮名)は動きがとれないでいた。
しかしやがてその振動によってずり落ちはじめ、口蓋垂の裏の上まで来た。
ミ「あ……のどちんこだ。」
懐かしい物体である。飲まれる時、これを掴めてさえいれば
こんな死ぬような目にあわずにすんでいたろう。
憎く、愛しいでっぱりである。
ミナたく(仮名)は足掻いて更にずり降り、でっぱりにぶら下がった。
そこから舌に下りて口から脱出する算段だった。

今度はのどちんこに刺激を覚えたうサだ(仮名)、またまた咳きこんでしまう。
う「エホッゴホッゲヘッ」
で「あーもううるさいにょ!辛いなら部屋ででも寝てるにょ!」

咳の風に煽られてのどちんこから手が離れ、舌に着地した。
何とか口まで戻って来られたところだが、また飲まれたりしないように
急いで下を横に走って舌の下に飛び込んだ。

咳が止んだうサだ(仮名)は、異物が口に到達したことまでは感知しなかった。
喉のイガイガが取れて、訝りつつも安心した。

ミナたく(仮名)はうサだ(仮名)の舌の側面と奥歯の間を通って
口腔の底面に落ち込んだ。
ブニュブニュした床で、潤沢なところである。舌の上よりも空気が籠って暑い。
ミ「早く口から出ないと」
湿地のような口腔粘膜の上を口の先めがけて走った。

前歯の下に辿り着いた。上には舌の先がぬべっと横たわり、外界から蓋されている。
ミ「どうしようかな……」
ミナたくは、口からの出方や口から出た後のことについてはあまり考えていなかった。
とにかく体内から抜け出さなければ死は免れないと、恐怖感のみが自身を動かしていた。
ミ「……やれることはやるか」
歯茎を登り始めた。これしか思いつかなかった。
しかし、これにより口の中の「異物」をうサだ(仮名)に感じさせることとなった。

う「ん?口の中に……」
異物を口中に認めたうサだ(仮名)は舌で異物をすくい上げた。
ミ「う、うわあああああああああっ」
ミナたく(仮名)は最後の最後で捕まった。後少しだったのに、と口惜しがった。
ミ「(ははは、やっぱり僕は食べられる運命にあるのか……)」
しかし、ミナたく(仮名)の体は喉の方へは行かなかった。舌の腹に載せられ、
行き着いた先は乾いた皮革様の床の上だった。
肌色の洗濯板のような所……手のひらだ。
見上げると、愛しの――自分を食べてしまっていた――うサだ(仮名)の顔がある。
巨大な、恐ろしい、可愛い顔。目をくりくりさせて自分の方を見つめている。
しかし、うサだ(仮名)は小さなミナたく(仮名)を人間とは認知しなかった。

う「……何これ?変なゴミ」
痰と唾液でドロドロになった糸屑か食べカスのようにしか見えなかったそれを、
こともあろうか指で弾いて捨てた。(→バッドエンド版分岐2)

ミ「ひやあああああああああああああ」
思い切り爪で叩き飛ばされた。腹の中で消化されて死んだ方がマシな気がした。
このショックでミナたく(仮名)は意識を失った。

ゴミ扱いされたミナたく(仮名)は高速で空を横切り、ぷチこ(仮名)の顔についた。
ぷ「き、汚いにゅ!非道いにゅ!」
顔からゴミを取り、癖のようにそれを眺めると、人の形をしているようだった。
ぷチこ(仮名)は、それが何であるかわかった。

暫くしてミナたく(仮名)は意識を取り戻した。水を浴びていた。
目の前には大きなぷチこ(仮名)の顔が見えた。
ぷ「大丈夫かにゅ?何やってたにゅ?」
自分のことを認知しているらしかった。心から安堵した。自分は生き延びられたのだ。
ミナたく(仮名)は自分が遭わされた災難を詳らかに話した。

ぷ「そうかにゅ……それで、どうだったにゅ?」

心配されたかと思い、ミナたく(仮名)は自らの苦労と努力を語らんとしたが

ぷ「やっぱりうサだ(仮名)の腹の中は真っ黒だったにゅ?」

……訊くのはそんなことかよ、とミナたくは呆れ果てた。

洗い終え、さっぱりしたミナたく(仮名)はどっと脱力した。
生命の大事さを嫌というほど思い知らされた一日だった。
ぷ「体は今日中に元に戻るにゅ。それまでこの辺に転がっとくにゅ」
安全な所に置かれて、体が戻るのを待った。

夕方、はたしてミナたく(仮名)は元の大きさに戻った。
生きる喜びを噛み締めていたその時うサだ(仮名)が入ってきた。
う「あれ、いたの?」
今日一番の脱力感を覚えて、ミナたく(仮名)はトボトボと帰途についた。
                                 ヲハリ
目次に戻る
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(バッドエンド版分岐1)
う「う〜」
咳き込んだ上に喉に異物感をおぼえて、うサだ(仮名)はいよいよ体調が悪化したかと思った。
異物は喉の上の方に張り付き、鼻の奥がむず痒い。
異物を取ろうと鼻を強くすすった。

ミ「うわぁっ」
ミナたく(仮名)は粘膜の強い振動と上から吹き付ける風によって再び咽頭に落とされた。
そして溜まっていた唾と一緒に食道に再び送り込まれてしまった。

ミ「しまった……」
不慮の事故を口惜しがりつつ、食道の中でもがいていた。
しかし体力がもう残っていず、どんどん落ちていった。
ミ「だめだ……力が出ない……」

それに追い討ちをかけるように、何かが上から迫ってきていた。
ドロドロの塊である。美味そうな匂いがする。
ミ「……ごはん!?」
うサだ(仮名)は、昼になったので昼食を摂っていたのである。
それが飲み込まれて胃に行かんとしていた。
このままではこいつに押されて胃まで戻ってしまうではないか。

ミ「そんなことになってたまるかっ」
メシの間を通って上に上がろうとした。しかしそれは叶わなかった。
うサだ(仮名)はよく噛んで食べるいい子だった。
咀嚼物は細かく細かく噛み砕かれていたのである。
つまり、逃げ場はなかった。

ミ「く……う……あ、ひいいいいいいぃぃ……」

う「ふぅ、やっと胃袋に落ちたみたい」
でジこ(仮名)達と食卓を囲んでいたうサだ(仮名)はご機嫌で食事をしていた。
喉も治ったようで、最高に気分がよかった。
で「よく噛んで食べないから喉に詰まるんだにょ」
う「何よ!ちゃんと食べてるわよ」

食べ物に押し戻されて、とうとうミナたく(仮名)は再び胃へと来てしまった。
さっき胃を占めていた水はほとんど無くなっていた。
もう登ろうにも登れない。希望は絶えたのだ。

2度目に来た胃は、最初来た時のそれとは異なった様相を呈している。
大量の食べ物が落ちてきたせいである。激しい消化活動が行われるのである。
前とは比べ物にならないほど多量の胃液が分泌されていて、
水溜りに落ちると同時に衣服が急速に溶けだした。

ミ「ひええええええ〜〜!!」

ゆったり静かだったはずの胃は、今やぐりゅぐりゅと世界をくねらせていた。
とめどなく流れ落ちてくる昼食とともに胃の中で掻き回された。
高濃度の胃液を浴びて、皮膚が刺すように痛い。
今度こそ死ぬのだ。もう逃げられないのだ。
助かろうという気すら起こらなかった。

う「ごちそうさまっ」

うサだ(仮名)は昼食を終えた。他の面々とともに昼の仕事に赴いた。
喉の異物のことなんぞはもうとうの昔に忘れてしまった。
胃に潜む級友のことは、もとより知る由もなかった。

その胃の中では、ゆっくりと溶けつつあるその級友が漂っていた。
既に意識は朦朧として、死ぬのを待っているような様子であった。

ミ「ああ……もうすぐこの食べ物と同じになって吸収されるのかな……」
何となく感慨だった。恐れていたほど悪い気はしなかった。

ミ「………………」
懐中電灯が切れた。真っ暗になり、視界が静かになった。
愛しき者の心音と蠕動により物の掻き回される音が周囲を支配した。
うサだ(仮名)の一部になった気になってくる。

うサだ(仮名)は昼の仕事をこなしていた。
お腹が満たされて幸福を感じている。

ミナたく(仮名)はもうすぐ形を失おうとしていた。
不幸とも幸ともつかない面持ちでいた。

皮膚の感覚が無くなってきた。音が聞こえなくなりつつある気がした。
ふと得も知れぬ快感に襲われた。意識が飛んだ。
あとは、嘔吐物様の物体の中に溶けかけの肉体が漂うだけだった。

夜、うサだ(仮名)は就寝した。臟腑は人知れず働いていた。
小腸の中では、ミナたく(仮名)だったものが吸収されようとしていた。
吸収されれば、いずれうサだ(仮名)の血肉となるであろう。
消化されたものは柔毛の間をゆっくり静かに流れていた。
心地よい夜更けであった。
                                 ヲハリ
目次に戻る
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(バッドエンド版分岐2)
ミ「ひやあああああああああああああ」
思い切り爪で叩き飛ばされた。腹の中で消化されて死んだ方がマシな気がした。
目の前にぷチこ(仮名)の顔が現れた。どんどん近づいてゆく。
ミ「うわーーーーっ、どいて!どいて!」
ぷチこ(仮名)にそんな叫びが聞こえるべくもなかった。
しかも、のんきそうに欠伸をし始めた。
しかし、この欠伸がミナたく(仮名)を恐怖の淵に誘い込むこととなる。
ミナたく(仮名)の体はその欠伸の中心、つまり口の中へと突き進んでゆく。

ミ「え?え?もしかして……うそおおおおおぉぉぉぉっ!」

叫ぶ間もなく、ミナたく(仮名)の体はぶチこ(仮名)の唇の間を通って
桃色の世界に囚われて行ってしまった。

ぷ「あぁぁぁぁぁ……はむ、むにゅむにゅ」
ぷチこ(仮名)は欠伸を終え、速やかに口を閉じた。
ぷチこ(仮名)の口内には、平常の如く大量の唾液が分泌され始めた。
その勢いは、うサだ(仮名)のそれの比ではない。
ミ「うわっ唾がいっぱい……ゴボゴボ……ぶはっ」
ミナたく(仮名)はどんどんかさが増してゆく唾液に溺れそうになる。
うサだ(仮名)の口の中よりも暑くて、表面が柔らかい。
口内に籠る臭いは、うサだ(仮名)ほど強くはない。
さっきまでいた世界とはまた一味違う地獄に送り込まれ、
ミナたく(仮名)は悶えながらもがく。

ぷ「ん……ゴクッ……むにゅむにゅ」
ぷチこ(仮名)は、たまった唾をあっさりと飲み込んだ。
その口の中では、折角うサだ(仮名)の体内から脱出した疲労困憊のミナたく(仮名)が
その大きな動きのまにまに小さな喉の穴の向こうへと送り込まれて行っていた。
懐中電灯を点けっ放しにしていたためその行程がしっかりと目に焼き付けられた。
ミ「あああああぁぁぁぁぁぁぁっ」
唾液の海に浸り、ゆらゆらとした視界の中でミナたく(仮名)は
幼女の体内奧深くへと落ち込んで行った。

一同「いただきまーす」
げー魔ーず(仮名)店員は揃って昼食を食べ始めた。
ぷチこ(仮名)もモグモグとごはんを盛んに口に入れては噛んで飲み込む。
その小さな体の、お腹の中に、さらに小さな体の少年がいた。
噛み砕かれてドロドロになった食べ物が体の上にどんどんかかってゆく。
ミナたく(仮名)の体力はさっきの脱出に使い切ってしまい、もう動けない。
諦めるしかないと思った。こんなに運が悪くてはもうどうしようもない。
このまま、この美しい幼女の胃の中で溶けてしまうだろう。もう疲れた。

食事をとってぷチこ(仮名)の胃は激しい活動を始め、
ミナたく(仮名)の体は上下左右に振られて行く。
それと同時に、肉体は脆く崩れていった。
懐中電灯の灯が消えてゆく。くすんだ桃色の景色が暗く暗くなっていった。

ぷチこ(仮名)は、元気に働いている。
たっぷりと栄養を摂って、これからも健やかに育ってゆくだろう。
                                 ヲハリ
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