虜(後編)


瑞希「ただいまーっ」
瑞希が帰ってきた。部屋に入るなり僕を摘んで顔のすぐ近くに持っていき
瑞希「ただいまっ」
と大きな声で呼びかける。
小太郎「おかえり……遊んでくるのはいいけど、早く元に戻す方法を
    考えてくれないと困るぞ。」
瑞希「へへ、わかってるよ、わかってるから。」

瑞希は、普段はこのように明朗快活な女の子だ。
近頃僕との精神的な距離が狭まったせいか大人しさが前よりも減っているが。
しかし夜になると人を無理やりおしゃぶりにして悦楽に耽る変態娘になる。
まあ夜くらいスケベになるのも若人ゆえ仕方ないとは思うのだが
好きな人の目の前でやることじゃないと思う。
小人を口に入れて快感を得るとは、いい趣味をしているものだ。

小太郎「どうだ、そろそろわかったか?」
瑞希「んー、まだ。でも新しい秘法を会得したよぉ。」
小太郎「いや、別に新しいのはどうでも」
瑞希「実験してみるね、実験!」
小太郎「おい!また取り返しのつかないことを増やすつもりか……」
瑞希「大丈夫、これは簡単に元に戻せるから。じゃあエイッ」
小太郎「…………体が……光ってる?」
瑞希「そう、体が光るようになるの。」
小太郎「こんなことして何か意味があるのかよ……」
瑞希「あるよ、ほらこうして、あーん」
小太郎「え……」
僕の体は一瞬にして大きく開いた瑞希の口の上に。
そしてゆっくりと少し出された舌の上へと下ろされてゆく。
ちょこ、と舌の上に乗ったと同時に舌先がくるまって僕を奥に運んだ。
首尾よく僕を真っ赤な洞穴の中に送り込んだわけである。

瑞希「あむ、むふー」
すぐに口が閉じられた。いつものように湿気が籠もってゆく。
体から発する光により、口の中が広く見渡せる。
小太郎「へー、こうなってるのか。」
いつも口の中に入れられたら辺りを眺める余裕なんぞないので
周りの情景を見るのは初めてだ。
口の中の構造を見知らないわけではないが、
小さくなって内側から見るのは初めてなので目新しい経験である。
瑞希の口の中は血色がよく歯並びも良く実に健康的だ。
そんな感じでみとれていると、急に口から摘み出された。

瑞希「へへへ、どうだった?」
小太郎「どうだったって……まあ健康的できれいだったよ。」
瑞希「中がちゃんと見えて安心できるでしょ?」
小太郎「いや……それはそれで怖いような。」

夜がやってきた。忌まわしい忌まわしい夜だ。
僕は今日も彼女のおしゃぶりとなるのだ。
彼女は僕のことが好きで、自慰の際に僕をネタにする。
恋い慕ってくれることやオカズにしてくれることは非常に嬉しいのだが、
まともな方法を採って欲しいものである。
そんなことを考えていると、瑞希は僕を摘み上げて枕の横に置いた。
そして自分は僕の小さな体を見つめてポワーンと惚けている。
全ての準備を終えた瑞希は徐に手を自らの股間に運ぶ。
今夜の(彼女にとって)愉しみの一時が始まった。
同時に、僕はいつものように彼女の口に含まれた。

今回いつもと違うことは、体から発せられる光により周囲が見えることである。
周りを包む粘膜の動き、粘液の動き、色々な物が見える。
しかし見えたところで恐怖に変わりはない。巨大な歯牙の存在が確かめられ
その点は余計に恐ろしくもある。
そういう違いこそあれ、少女の口の中で揉まれることはいつもと同じである。
ただ今夜のそれはいつもよりはやや激しいような気がした。

一定時間揉まれると、瑞希は呼吸の為に口を開く。
今日の彼女の呼吸はいつもより荒めで、且つ熱い。
のどの奥が震えるような激しい呼吸を幾らかした後、また口が閉じられた。
そして再度舌が暴れだす。僕は再び揉まれる。
快感のためか唸っているのがわかる。口の中が唸りで振動する。
唸る音がどんどん高まっていく。絶頂が近いか。
しかし、今回は唸りも口内の動きも尋常なものではない。

舌がのけぞった。時は来たようだ。これで今日も解放される。
と、そう思っていたのだが、僕を載せた舌は口の外には出なかった。
むしろ後ろの、のどの方へと僕を運んで行った。僕は避けられなかった。

瑞希「ごくっ」

のどちんこに撫でられながら、僕の体は奥へ下へと送り込まれていく。
冗談じゃない。飲み込まれて胃袋へ入れられたら消化されてしまうじゃないか。
抵抗したが、舌の根や咽頭の力強い動きには勝てない。
また、僕と一緒に大量の唾液が飲み込まれていて、それに流されてしまう。
「死」という言葉を頭に巡らしつつ、僕は蠕動のなすがままになっていた。

気がつくと、まっすぐな所を通っている。食道だろうか。
桃色の管の中をグニョグニョと運ばれて行く。
ベルトコンベアの上に乗っているような感じだ。
少し経って、すぼまった所に行き着いた。口が開いて、広い所に落とされた。

小太郎「胃か……。」

波うった床や壁や天井、そしてたちこめる熱気と酸気。
嗅ぎ憶えのある臭いに、なるほど胃の中だという実感を覚える。
瑞希は、人間を飲み込んでしまって今頃どんな顔をしているだろう。
好きな人を誤って殺してしまって自分を責めているのだろうか。
……いや、おいおい、僕はまだ死んでいない。
しかし、このまま手をこまねいていてはいずれ死ぬのみだ。
ここから出ねば。しかし、どうしたものか。脱出方法はあるのか。
瑞希に吐き出してもらうしかないか。彼女も、僕を飲み込んだことは
わかっているはずだ。
しかし、いくら待っても吐き出される素振りは見えてこない。
僕は瑞希に見放されてしまったのか?
顔が青ざめた気がした。死ぬのか。いや、死んでたまるか。
ここは、自力で脱出するしかない。胃から出るところといえば、

小太郎「下に穴がある、あそこか……。」

今は僕以外に内容物が無いため、胃袋の活動は緩やかである。
胃液もさほど溜まっていないので幽門へも行けそうだ。
幽門のすぐ手前まで来た。これを如何にして開けたものか。
考えていると、後ろの胃壁がグネッと大きく波うって僕を巻き込み、
それと同時に幽門が開いて僕を胃液と一緒に門の向こうへと押し出した。
胃液をモロにかぶってしまった。まずい。溶けてしまうか……。

気がつくと、手狭な管の中にいた。体は大丈夫なようである。
どうやら生きて胃を脱出することが出来たようだ。
しかし、ここは見たところ小腸だ。ここだって安心とは言えまい。

小腸の中を先へ先へと進んでゆく。行って助かる見込みはあるのかどうか。
多数のひだに覆われた腸壁。流れは優しくて、悪い気はしない。
何時間歩いたかわからないが、とりあえず出口らしき所に行き着いた。

くぐると、さっきより広い所に出た。狭い穴と広い道がある。
前者は虫垂で、後者は大腸だろう。行くべき道は、勿論大腸の方だ。
行き進むごとに、周りの水気が無くなってゆく。そして空気が多くなる。
空気といっても、酸素の少ない苦しい空気。且つ異臭がする。
艶々とした壁面を歩き続け、遂に道の最果てに辿り着いた。
といっても、肛門ではない。道が塞がっているのだ。
何で、ということは敢えて言うまい。
こいつはちょっと厄介だ。これが出るまで僕はここから出られない。
さりとて引き返すのも嫌だし、ここで待つしかない。
巨大な固形排泄物を前にして、僕は腸壁に寝転がった。そして眠りに就いた。

大きな揺れを感じた。そうかと思うと、僕の体がどっと落下した。
目を覚まして見上げると、大きな肌色の塊とその中央に円形の穴があった。
自分の体の下には、茶色の野太い大蛇のようなものが横たわっている。
瑞希が排便をして、自分を外に出したのだということが少ししてわかった。
僕は、助かったのだ。

僕と排泄物は、大きく広げられた新聞紙の上に落とされていた。
瑞希は、僕が尻から出ることを知っていたようだ。
僕の体は摘み上げられ、洗面所で丹念に洗われた。
一通りの処理が終わると、瑞希は一言言った。

瑞希「ごめんね、大丈夫だった?」

意外と素直な言葉に、ちょっとどぎまぎした。返答は、自然に出た。
小太郎「お、おう、大丈夫だ。」
瑞希「よかった……死んじゃったらどうしようかと思ったよぉ。」
小太郎「死んじゃったらって、普通腹の中に収まったら死ぬぞ……。」
瑞希「うん、だから、死んじゃわないように秘法をかけてね……」
小太郎「え?」
瑞希「だ、だから、間違って飲み込んでも小太郎君が消化されないように
   肉体防護の秘法をね……ただ初めてだったから心配で……。」

唖然としてしまった。だから急いで吐き出そうともしなかったのか。
肉体防護の秘法を憶えて仕掛けているのなら言ってくれれば良かったのに。
それにしても、好きな人を尻から出すというのは恥ずかしくなかったのだろうか。
いや、或いは好きなればこそ恥ずかしくなかったのかもしれない。
もう、何も言わない。ただ一言を除いては。
小太郎「ところで、僕を元に戻す方法は見つかったか?」
瑞希「んー……ごめん、まだ……。」
小太郎「そうか、早めに頼むよ。」

瑞希の本音が聞こえる。僕はこれからの身の振り方を考えていた。



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