愛娘救助大作戦

※満側の描写
※好実側の描写

まったく、仕事というものは人を疲れさせる。
こういう日は早く帰って身を休ませるに限る。
もちろん帰ったからといって家族が熱心に慰めてくれるわけではない。
妻の好実は優しいが若い頃のようにベタベタしてくることはなくなったし、
娘の実乃(みの)は先月小学3年に上がり、
こちらもやはり以前ほど懐いてはこなくなった。
わびしいが、それが世の中というものだろう。
そんなことを考えながら、原中満37歳、我が家の扉を開ける。

開けるなり、妻がドタドタと這い出てきた。様子がただごとでない。
「お父さん!お父さん!実乃が!実乃が!」
泣きながら訴えかけてくるが、説明になっていずわけがわからないので
とりあえず娘のところに連れさせる。
居間に入ると、娘が涙を湛え渋い顔をして座り込んでいる。
何があったのか尋ねても黙っているまま。
困っていると、落ち着きを取り戻してきた妻が説明を始める。
夕方、帰ってきた娘はひとりで漫画を読んでいたようだが
手が寂しくて同時に床に置いてあった洗濯ばさみで手慰みをしていたらしい。
そのうち口に洗濯ばさみを挟み込んで遊んでいるところを
妻が夕食の誘いに背中を突いた途端、衝撃で飲み込んでしまったということだ。

「背中を叩いても取れないし、吐かせても出てこないし、
 もうどうしたらいいか……。」
妻はこの状況に手に負えず疲れきっている。ここは父である僕が何とかするしかない。
しかし、妻だってこれまで考えつく限りのことをしている。
ここに僕が加わったところで解決することができるのか。
娘が洗濯ばさみを飲み込んでしまい、喉にひっかかっているため苦しんでいる。
吐かせても出てこない喉の洗濯ばさみを取り出すには……。

ここで一つあることを思いついた。僕の稀有な経験に基づく方法である。
僕は高校生の頃、現在妻である好実に体を小さくされて食べられたことがある。
その時はすぐに吐かされて解除剤を飲ませてもらったおかげで助かったが
20年経った今も思い出すたびに恐怖に震えを催す。
しかし、考えてみればこれは実乃を助けるために役立つのではないか。
僕が小さくなり実乃の喉の中に入って、洗濯ばさみを押し出すかして取り出す。
決心が固まった僕は妻に提案した。

夫はとんでもないことを言い出した。娘の体内に入って洗濯ばさみを取り出すなどと。
私は小さい頃、今は夫である従兄を薬で小さくして口に入れ、飲み込んでしまった。
理由は、彼がエッチな本を持っていたから。私はそれに嫉妬した。
自分勝手な恋しか知らなかった幼さ故の過ち。
今もこのことを思い出すたび後悔で胸が苦しくなる。
もちろん彼は助かったが、好きな人を殺しかけた自分の行為が怖くてたまらない。
そして今、夫はそれを娘を救うために再現するというのだ。
失敗したら私は今度こそ夫を失い、娘は父を殺した人殺しということになる。
そんなこと、同意できるはずがない。
でも、夫は真剣だった。娘は依然苦しんでいて私にはもう他の手段が思いつかない。
仕方なく、私はうなずいた。
ただあの身体縮小剤は私が事を起こして以来造られていない。
どうするのか夫に尋ねたら、「実は、ずっと持ってるんだ」と言った。
私の胃の中から助け出された後、再発を恐れて製造者である父から薬を全部引き取ったそうだ。
夫も、あの記憶にずっと恐怖を抱き続けていたのだ。

夫は自分の部屋に行くと長い間鍵をかけたままの机の引き出しを開け、紙袋から薬を取り出した。
頭にヘッドライトを取り付け、ビニール合羽と手袋をして装備を調える。
そして即座に一錠飲み、そのまま椅子に座り込んで眠った。
身体縮小剤には睡眠効果がある。私は体が小さくなった夫を揺り起こす。

目が覚めると、異様な光景が目に飛び込んだ。
広大な毛の野原に、巨大な妻の顔。……そうだ、僕は身体縮小剤を飲んだのだ。
命綱代わりの糸を胴に結い付けて妻の手に乗り、娘のいる居間に戻る。
初めて見る巨大な娘の姿。それとともに、思い出す昔のこと。娘はあの頃の好実にそっくりだ。
今から、この子の体の中に入るのだ。
そう思うと身震いがする。しかし決心は揺るがない。

妻に言って、実乃の目の前に僕の体を差し出させた。
「あのね実乃、これからお父さんが実乃の喉に入って洗濯ばさみを取ってきてくれるんだって。
 大丈夫、こうやってちゃんと糸でつないであるからね。だから、お口開けて。」
娘はどういうことなのか納得できない顔をしつつ、ゆっくりと口を開いた。
喉に異物があるせいで唾液が通常よりも多く分泌されるのだろう、口の中はべっちゃりしている。
妻の指が僕を摘んで娘の口の中へと導いていく。周りの空気がじっとりしていく。
やがて妻の指は僕を放し、ひとり実乃の口の中に取り残された。

ヘッドライトを点けてみると、昔見たような光景が広がる。
上下前後を真っ赤な壁に囲まれ、横に白くて大きな歯がゴツゴツと並ぶ。
まだ完全に生え替わっていないせいか、いささか不恰好な歯並びに見えた。
周りは湿気の多い暑い空気に覆われる。もちろん口臭も漂うが、実の娘であるせいか不快には感じない。
唾液が多く、足下が水っぽい。周囲には何本もの唾液の糸が居並ぶ。
前方を見れば喉の入口。口蓋垂の根元が少し見えている。これからこの向こうに行くのだ。
心の準備はできた。あとは、実乃が僕を飲み込んでくれるのを待つばかり……。

娘の口から糸がにょろんと出ている。その糸をしっかり掴む私。夫の命は私の手にかかっている。
娘に口の中のお父さんを飲み込むように言う。しかし娘はなかなか飲み込もうとしない。
おそらくお父さんが口の中に入ってわかったのだろう。これから自分の父を飲み込むのだと。
それは、父を食べ物と同じように扱うことなのだと。
娘はまだ消化の仕組みなんか知らない。しかしそれでもその行為の恐ろしさに何となく気づいているのだ。
私なんかよりずっと賢い、いい子だ。……でも、私は娘を説得しなければならない。
「……お父さんを飲み込むの、怖い?」娘は軽くうなずく。
「怖いかもしれないけど、実乃の喉の洗濯ばさみを取るにはこれしかないの。
 大丈夫、こうやってちゃんと糸でつないであるでしょ。洗濯ばさみが取れたらこれで引っ張り出すの。」
娘は目に涙を浮かべ、ぷるぷると首を振る。私は口を滑らせるように言った。
「お父さんは本当に大丈夫だよ。あのね、お母さん昔お父さんのこと食べちゃったことがあるの。
 お父さん、お母さんのお腹の中まで行ったけど、無事に戻ってきたよ。」
ついに言ってしまった。自分の罪を棚に上げて。でも言わなければならない気がした。
しかし、これを聞いて信用したのか実乃は表情をゆるめて糸を少し吸った。
そして、娘の喉がコクンと鳴った。

ついに舌が大きく動き出した。僕の体を奥の方へと導いていく。
巨大だが愛嬌のある形をした口蓋垂が僕の頭上をかすめると、僕は下へ下へ落ちていった。
桃色の肉壁に挟まれ、粘液を浴び、僕は咽頭から食道へ入る。
少し進むと、眼前に異物を認めた。大きな大きな青色の洗濯ばさみ。
横になって食堂の壁に食い込んでいる。だから引っかかっていたのだ。
洗濯ばさみにつかまり、身を落ち着けた。上も下も粘膜の管。
少し酸っぱい匂いがする。さっき吐かされたせいだろう。
異物を胃に流し出すために上からどんどん唾液が流れてくる。
視線の先を洗濯ばさみに戻した。さて、こいつをどうしたものか。

とりあえず、腕で食道壁を押して洗濯ばさみを引っ張ってみた。
小さくなった僕の力が小さすぎてびくともしない。
洗濯ばさみの下に回って押し上げてみたが、やはり動かない。
蒸し暑い中体力の消耗が激しい。唾液で滑って思うように物に力を加えられない。
こうしている間も、実乃は喉の異物に苦しんでいることだろう。
悔しさと焦りが募る。

暑くて、汗ばむ。激しく体を動かしているため喉が渇く。
上からとうとうと流れ落ちてくる実乃の唾液を飲んでみるが、さすがに唾では喉は潤わない。
両足を食道壁に突っ張らせて体勢を整えているため、足の先が粘膜の壁にめり込む。
これも痛いんだろうか……などと思っていると、ふと気がついた。
「そうだ……洗濯ばさみよりも大きく幅を開ければ取れるんじゃないか?」
つまり、全身を以て食道壁を押し広げ、洗濯ばさみを緊張から解き放つのだ。
そうすれば洗濯ばさみを縦に直すこともできる。
しかし、全身で突っ張っている間に洗濯ばさみの緊張が緩むと下に落ちてしまうかもしれない。
そうならないよう、腰の糸を洗濯ばさみに結い直す。
僕が胃袋に落ちてしまう危険性があるが、洗濯ばさみにつかまっていれば大丈夫だろう。
決心して、洗濯ばさみの真上で体を伸ばし、前後の食道壁を両手両足で押した。

力いっぱいに肉壁を押すが、なかなか凹んでくれない。
巨大な少女の食道壁と、矮小な大人の男の全身、この力の差は歴然としていた。
それに、満遍なく湛える唾液。滑って仕方がない。
それでもたゆむわけにはいかない。渾身の力を込めて弾力豊かな桃色の面を押す。押す。押す。
少しずつ手がめり込んでいった。洗濯ばさみの先が見えてくる。可能性が励みとなっていっそう力が出た。
脚がつりそうになりながらも、力を加え続ける。後ろは見えないのでどうなっているかはわからない。
手で作った食道壁のくぼみに実乃の唾液が溜まる。湿気と籠もる匂いにむせ返る。
何分、何十分押し続けたかわからないが、遂に洗濯ばさみが動き出した。
最初はぐらつき程度だったのが次第にバランスを失い、そして縦に転がった。
やっと、やっと障害物を外すことに成功した。あとは洗濯ばさみに乗り移って上げてもらうだけだ。

……が、ここにきて予想外のことが起きた。しかしそれは当然のことでもあった。

洗濯ばさみが僕を置いてスルスルと上にのぼりはじめた。僕の体を通り越す。掴む間もなかった。
そうだ。妻は糸の先が僕ではなく洗濯ばさみに繋がっていることなど知らない。
洗濯ばさみが一瞬落ち込んだので、妻は僕が取り外しに成功して合図を送ったと思ったのだろう。
洗濯ばさみの上昇は止まらない。このままでは僕は娘の食道に取り残されてしまう。
いつまでも踏ん張ってはいられない。残された道は、下方の胃袋への道だけ。
つまり、娘に消化されてしまうということだ。それはどうしても避けたい。
僕の肉体が実乃の栄養になるのは一向に構わない。
しかし、僕の為すべきことは娘の一時の栄養になることではなく将来のために生活を保障し続けることだ。
今死んではならない。
体勢を変える。体を縦にして両足で食道壁を押し、両手を壁のなだらかな襞にかけて這い上がる。
しかしなかなか進まず、高速で上昇する洗濯ばさみにはとても追いつけない。

運が良かった。まったく僥倖であるとしか言えない。
食道が蠕動し、そのうねりに洗濯ばさみの脚が引っかかった。
脚の間の輪に糸を結い付けていたため、洗濯ばさみは脚を上にして上がっていたのだ。
今のうちと、力をふりしぼって這い上る。唾液で滑るが、その分何度も何度も手を伸ばす。
洗濯ばさみの目に手がかかった。最後の力で乗り込み、洗濯ばさみの体勢を逆にする。
一度蠕動によって押し下げられるが、蠕動を越えたあと規則的に糸を引き、合図とした。

唾液の流れ落ちる管の中を駆け上り、すぼまりを抜けると咽頭に辿り着いた。
下を見ると声帯が横たわり、その向こうに気管がぼんやり見える。
そこから吹き付けてくる実乃の呼気が、生暖かくて心地よい。
そう思う間に僕と洗濯ばさみは上昇を続け、遂に外の光を見た。
僕らは、無事帰ってきたのだ。

大きく開けた娘の喉の穴から夫と洗濯ばさみを見つけた時は、涙が溢れそうになった。
娘の口から夫を離すと、唇と夫の間に太い透明な糸が引いた。
どうしても切れなかったので、私の袖で拭い取った。
夫の体をタオルで拭き、すみやかに解除剤を飲ませる。
みるみる元の大きさに戻り、椅子にぐったりと腰掛けて私に笑顔を向ける。
私は考える間もなく夫に抱きついた。あの時のように号泣した。
そして娘も寄りかかり、「ありがとうお父さん」と言って夫の頬にキスをした。
夫はこれまでにないほどの嬉しそうな顔。そしてそのまま眠ってしまった。

目が覚めると、妻が風呂を呼びかけてきた。実乃の唾液臭が染みつく体を丹念に洗う。
今日は娘のためになった。そのことが何より嬉しい。
それに、もうあのことを思い出しても身震いがしない。
二回したことだから、怖くないのだ。

風呂から出た後、妻は久しぶりに体を求めてきた。
営みながら、妻は妙なことを訊いてきた。
「ねえ、あの薬まだ残ってる?ちょっとお願いがあるんだけど。」
「何粒か残ってるけど……何に使うんだ?」
「もう一度、私の口の中に入ってくれる?」
……手段はともかく、妻も克服したがっているようだ。
「わかった。今度の夜な。」

ヲハリ


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